憂き目

生きるという憂き目に遭う

思い込みこそが現実

夢も現実になる


私は風呂にいる。サバサバとした女の概念と入っている。女は私に便宜を図るために高級な酒を提供した。飲めば「これで許されるよなあ」と急にポップしたチンピラに言われた。服を着ている。服が濡れるという認識はない。そう話しかけられた感覚だけがある。女の存在はもうない。


酒は15000円と具体的な数値、それが何の酒なのかは分からないが、花の香りがする。そう言われて差し出されたわけではない。そういうものだと頭が認識を発生させた。これは記憶の整理に違いない。youtubeで色が変わる食べ物を見たせいで青く、花のつぼみが沈んでいる。絶対そうだ。


最初の一口、味のしない水にアルコールを感じる。頭が少しだけズキズキとする。このままでは味の感想が何も言えず、空気が成立しない。口に含んで、舌で転がし、喉奥に落とし、味わったフリ、何かを考えたフリ。この間5秒、次は味覚ではなく嗅覚で味わうフリをすることを決める。


鼻腔を広げて香りを吸い込む。この瞬間、俺は強烈な香りのイメージだけで急に現実に引き戻された。起きたことに気付いたが、夢の中にいる感覚もある。同時に別世界にいる。風呂にいる私。布団で寝ている私。別の夢を覗く観測者の私。


脳が日々の出来事を整理しているのを視覚的に認識した。考えのプロセスも手に取れる。本当に考えという概念の欠片を手に取っている。バースデーケーキに刺さるメッセージ入りのチョコレートの破片のようなもの、レトルトカレーのようなサイズ感。そこに書いてあるものを知覚したならば、次の欠片が現れて、現れて、現れて。考え事をする時の考えの波及が、見える。


図説で理解するという本の脳整理だろう、と冷えた脳は考える。対、目覚めた脳はプロセスを繰り返す。目がチカチカと混乱するほど考えている。同時にいくつも並行して脳に負荷がかかる。頭が痛い。エネルギーの消費が激しい。丹田から脳にかけて、カーブを描いて、下から上へ。脳が食っている。この時、腸と脳の関係性が深いというのはこのことを表しているのかと考えていた。


次の次元へ、目を空ければ電子機器の生きた光だけの自室が見える。そこに重なるプロセスたち。PS2起動時の映像のようなものが重なる。前述のチョコレートも無限に枠。重なっているが重なっていない。同時に切り分けて見えている感覚。目が複数に増えて、脳も並列で全認識している。腹のエネルギー消費は恐ろしいほど速く、急激に身体が冷える。


このままでは不味いと暖炉の火や手の感覚へ意識を向ける。火は見えても、手は固まっている。まったく動かない。この現象を記録しなければいけないという強い動機を動かす。これは動く、やはり人間には動機が必要だと、別の納得をした。


寝床近くのスマートフォンを手探りで探す。触ればそこがパっと鮮明な映像で出現する。面白い現象だが左右盲。見えた映像と実態の肉体動作が噛み合わない。どろんとした時間を越えて探し当てた。今の覚醒状態ならば、目などに頼らずともツイート可能かもしれないと考え、実行に移す。

夢の世界を知覚で構成している
花の香りの酒
弱くて
意識して強くしたら
目かま覚めてしまった


ゆめをひきだせる


ぎぞやくちゅ
たんでんとこうが
ちょうものう


つかがる
けまゆまつかんに
かさなるさんでー


腹のエネルギーがすわ」ていふ
萱田が止まる自覚
なにもかもごちかくできる好きな概念の塊、私の会
しこうのいひそのまも


現実に意識を向け過ぎたのか、エネルギーが枯れたのか、俺は再び浅い眠りについた。朝までどうでもいい夢を見て、そのほとんどが記憶にある。睡眠の質がとても悪いので体調が芳しくない。忘れてしまう、現実感の方が強くて。


今回、脳は思い込めばなんでも出来ることを実感した。いつか私の世界を創造する。肉体は脳から滅びるだろうが一向にかまわない。不要だったというだけなんだから。その他全ても何もかもがいらない。いい夢を見よう。枯れるまでは時間という概念もない。知覚したいか、したくないか。そこに出す現実は私が決める。