憂き目

生きるという憂き目に遭う

祖母が死んだ

せっかくだから何か残しておこうと思った
しかし、言うことがない
別に嫌いでも好きでもなかった
どちらかといえば嫌い

時代の呪い

俺が生まれてしまったのは
親父が陰キャ属性を持ちつつも
一般人教育を施されたちゃんとした昭和
軸のない人間 自己というものがあるけど薄い
願い 命令に近い
流される 雰囲気
促される 結婚
生まれる 私 運が悪い


今の時代に親父が生まれていたならお前絶対結婚しねえよな
本人もそう言っている 本当に悪いのは時代 そして世間
滅ぼすべきも恨むべきも概念としての世間
空気なのよ…


過去 良くも悪くもない
人類学的には正しかったけど
ミクロな人間としては悪い時代
ちょっと前なのが惜しい


いつ生まれてもガチャ
ばあさんの時代に生まれていたら
とっくに強い希死念慮で死んでいる
どう精神が伸びるかは分からないけど
息が出来る気がしない


今の俺の明るさは処世術 適応力というもの
仮面を被り慣れた 本音は言わない
なんでも共感してあげる まったく思っていなくても
本当のことは言わないよ ここだけの秘密だよ


逃れることはない真実 とても仕方なく受け入れた


未来は、この恨むべき対象たちがどんどん死ぬ
それでいいだろう
いいことすぎる

順当な軽薄さ

あたし軽薄なヤツだね
しょうがねえだろ 現代っ子


とにかく思い出がない
行かされた時にいくらごはん食べたしかない
クソガキの頃は美味くて嬉しかったけど
ちゃんとこじらせてからメシの良さは分からない
今も分からない 正直何食べても大して味分かってない


会話というものをした記憶がない
親族という属性がついているからその空間にいただけ


人生、何かいいことはあったのかな
じいさんと会って永遠に繰り返す家事の日々は何とも言えないだろうなあ
金はあったけどそんなものじゃ人間は救われない
救われるのはもっとくだらない問題だけ
新しい問題にうなされるよ


直接は何もグチなど聞かなかった
でも裏ではあれもこれも不満だらけだったろう
それも亭主関白時代に何も言えるわけもなく
人間性とはそんなもんよ


葬式にいけと言われたらいくけど でしかない
一人暮らしの家でキチガイになり果て
介護施設に放り込まれた最期
人生ってゴミね
死ねてよかったね
人が救われるのはいいことだよ


どうでもいい 俺も流されるだけ
いつか死ぬ 楽しみでしかない もう悩まなくていい