憂き目

生きるという憂き目に遭う

クリームソーダシティ

クリームソーダシティ


クリームソーダシティ 完全版

読み終わったので感想文
1,2巻は普通のマンガの値段
3巻は発売中止
クラウドファンディングパワーで発売
市場には10万円で売られていた
このバックボーンだけでロック


実際の有名人の名前そのまんまだったり、政治批判だったり
発売するにはハードルが高かったことがうかがえる内容だった
出版社だったら、売りたくないもん


内容は"正しいこと"に憑りつかれた精神異常者の話、にしか見えない
一応ギャグマンガらしいので面白いんだけど
ギャハハじゃない
世の中のバカにするべきものをバカにしたときの笑い
シニカルが詰め込まれている
笑って、いいんだぞ?と声をかけられている感じ
倫理観や正義感にこだわりがある人ならば読んでいるデバイスを叩き割る


俺はとても好き
思い悩んで、前向きにこの世界から脱出しようと思ったときに読みたい
人間が勝手に決めただけのルール、死の概念、捉え方次第
創造(シャイラ)したい




ネタバレを含む感想
・冒頭
街頭演説をする政治家を2人で射殺する
最初から強烈なメッセージ、たまらない入り
"死ぬべき人間を除去する"
これこそ正しいこと
俺は全面的に同意する


・クリームソーダシティ
この世の楽園、だそう
生きている人間の間はただのゲーム
どれだけのカオスを生み出すか
世の中に革命を起こす
みたいなことが入場条件っぽい
実際、ちょっと納得した、納得するようなところじゃないけど
何かを成した人はなかなか早々にフェードアウトしている
そこに意味を持たせたい感じ


乳首とかモロ出てくるけどエロくない
絵柄がギャグ、でもそれ以上にアドレナリンが足りるのか?みたいな心配が先行した
女とヤりまくる、理想的ではあるけども、永遠の時間やりたいことではない
現実に生きている間のアドレナリンはボーナスタイム
今は感情の揺れ幅が大きいけど、本来はもっと鈍いのかもしれない
死んだら通常経験値倍率でアドレナリンを稼ぐことになる
今は稼ぎ時?そんな風に思った、俺が思っただけ


・降格
クリームソーダシティから降格したのは
飛ばされた中華女とセンパイがキスしている状況に
TAKO介が"嫉妬"したからだと思う
たぶん、ビーチパーティのくだりから察するに嫉妬は理想には必要のない感情
そんな気がした
なんでも叶うが、嫉妬からくる相手の破滅を願う
みたいな害のある感情を起こすこと自体、正しくないのだ


・再度現実
DRTの活動、世界のノイズを除去する


公園で襲われている女の子を救うのは正しい、ただ弱いからボコられて負け
運ばれたけど病院代が足りないのでエスケープ


ボランティア活動として水回りのケア、ステッカーを5000円で買うまで粘る
さおだけ屋みたいなもん、御用聞きはタダではない
クラシアンと同じ悪徳商法、トイレのトラブル8000円(から)みたいなやつ
これは0円(から)なのだ


総理大臣がクリームソーダシティの一端を見て、ハイになる
夜中に下着でヒャッホウするぐらいにはハイになる
バレて、クソなのでやめろやめろと世間が言う
そこでセンパイの「権力を愛しましょう」が響く
人間の作った幼稚なルールは権力者が権力者たるためのルール
しょーもないハウスルールなのだ
慈愛の心で見る
現実をベースにしたおままごと、確かに、見えるわ
俺は新しいタイプの悟りを得た


警察にパクられるけど、「全ては可能」と言い
巨大な手に乗って脱獄する
警官とTAKO介はその現場を見ている
この時点でセンパイは確実にこの時点で悟りを開き終わっている


事務所兼自宅の家賃滞納1年、差し押さえされてホームレス
TAKO介がセンパイは絶望しているんじゃないか、と言っていた
センパイの精神描写はなく、外に出るセリフだけ
神の力らしきものを使っていたし、クリームソーダシティに行くことを考えていたんだろう
"正しいことをしたい"は先輩が言いだしたこと
根本的に世界を救う使命を感じていたのかもしれない


センパイは飛び降りて、ここで現実とクリームソーダシティの分岐
見ていたTAKO介は描写の通り、シャイラ~とクリームソーダシティへ旅立った
これはクリームソーダシティを知っていたから"現世からの解放"がそう見えたんだと思う
見ていたホームレスは"飛び降りの死体"になったという
これこそ、現実が現実としてのみ見えている人間なんだと思う


・ TAKO介
総理を操っているアメリカは分かる、GHQ的な概念
センター長の佐伯さんは何かの揶揄なんだけど、イマイチ分からん、宇宙?
TAKO介はこの状況を知っていたし、共通点はクリームソーダシティ
世界の真理側の人間なのかもしれないな


ウロボロスの管理者みたいだし、世界がくだらない状態で周るように管理しているんだろう
総理には戦争を促しているし、定期的な排除の流れを作ろうとしている
淘汰は大事な仕事だ


で、センパイに取り残されたTAKO介はクリームソーダシティにそそのかされて
総理暗殺を目論んでいく


頭に降りてくる声、マジであるらしい
俺はなったことがないので分からない
本当はそんな外部からの声は聞こえてこないので
内なる自覚なき自分が生み出した声でしかないのだけど
判断力の落ちた脳みそでは、神の声にしか思えないのだ


しっかり準備をして、勝負は一瞬
暗殺は成功して、マルクスにクリームソーダシティに飛ばしてもらう
その幻覚を見て、実際には逮捕される
"政治的暗殺"は達成したけど、クリームソーダシティに行けない


逮捕した警官はセンパイの脱獄を見ている
TAKO介の記憶にはクリームソーダシティがある
実際にあるのは間違いはないが、ゲームクリア条件は色々
おそらく、"政治的暗殺"のフラグは使い切ってしまったから不発
ゲームだからな


・最終
TAKO介が逮捕されて供述したあと、警官は神らしきものになったセンパイに拝む
パクられて解放された後の家の会話
(汚れをぬぐうために捕まえられて殺された)
「モンシロチョウのような気分を味わうだろう」
これが、このシーン
圧倒的な"権力”の前では無力
神の力の行使、止まんねえよ


センパイはウロボロスを崩し、地球の創造(シャイラ)を完了した
これが現実で起こっているのかどうかはわからない
創造(シャイラ)は"正しいこと”の究極




全体的な雑感
反芻したいフレーズ、展開が多くて
既に3度読み直した
俺はほぼ無条件でロンゲのキャラが好きなんだけど
センパイも例にもれず
ロンゲのキャラは意味深なこと言いがち、含みが良い
例外はリボーンのスクアーロだけ


人生で何度かこすって読める、いいマンガを買った